尾上右近、社会派現代劇への挑戦に「お客さんの気持ちの中に飛び込む」 『ウォーター・バイ・ザ・スプーンフル』開幕 - 2018年7月 - 演劇ニュース - 演劇ポータルサイト/シアターガイド
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『ウォーター・バイ・ザ・スプーンフル』開幕 1 左から、尾上右近、篠井英介、南沢奈央

▲ 左から、尾上右近、篠井英介、南沢奈央

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『ウォーター・バイ・ザ・スプーンフル』開幕 8 左から、陰山泰、葛山信吾、南沢奈央、尾上右近、村川絵梨、篠井英介、鈴木壮麻

▲ 左から、陰山泰、葛山信吾、南沢奈央、尾上右近、村川絵梨、篠井英介、鈴木壮麻

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歌舞伎俳優・尾上右近が、現代劇に初挑戦。PARCOプロデュース2018『ウォーター・バイ・ザ・スプーンフル〜スプーン一杯の水、それは一歩を踏み出すための人生のレシピ〜』の公開舞台稽古と囲み会見が、本日6日の開幕を前に、紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYAにて行われた。

イラク戦争の経験から肉体的にも精神的にも傷を負った青年エリオットや、かつては薬物中毒のためにエリオットを見殺しにしかけた過去を持ちながら、ドラッグ依存症患者たちのためのウェブサイトを運営する母オデッサ、そして、そのサイトに日々集う人びと−−。薬物に救いを求めることになってしまい、“社会”から疎外されてしまった彼らが、人生の行方を探そうと悩み、あらがう姿を描いた本作。トニー賞受賞作『イン・ザ・ハイツ』の脚本を手掛けたキアラ・アレグリア・ヒュディスが、2012年にピュリツァー賞を受賞した社会派作品だ。

通し稽古を終えて、右近は「厳しい空気を感じながらでした(笑)。緊張とかいろいろな意識が混ざって、とにかく今日は、正気の沙汰でない。精神状態は完全に“オーバードーズ”」と、作品テーマの一つであるドラッグにかけて、本番前の率直な心境を明かす。しかし、開幕に向けて「とにかくつくり上げたものを守りながら、今の気持ちの中で起きる感情を芝居に乗せて、明日を迎えたい」と意気込んだ。

エリオットのいとこで、良き理解者となるヤズミンを演じる南沢奈央は「ネットの世界を描いた現代ならではの作品。舞台上でどう伝わるのか、お客さんからどういう反応があるのは楽しみ。国も人種、育った環境の違う登場人物たちだけど、最後には、人とのつながりの温かさとか、普遍的なものが伝われば」と力を込めた。

葛山信吾は「不安ですが、観客の反応に乗せられて、最後にどういう変化をして、どういうお芝居になるのか、自分自身も非常に楽しみ」と期待を寄せる。エリオットの心の傷を表現する“幽霊”などを演じる陰山泰は、当初、役のことが分からずにG2に電話して相談したそうだが、「ドラッグや戦争とか、あまりなじみのないテーマで、手強い脚本で格闘中ですが、最初に読んだ時から、絶対面白くなると予感していた。僕はちょっとずつ出てくるけど“1杯ずつ水を与える役”。まだまだ深めていきたい」と意欲的。

鈴木壮麻は「ネットの世界の住人を演じるので、空間の取り方に苦しみ、悩みながらの稽古でしたが、みんなに応援してもらい、支え合いながらここまで来れました。ネットと現実の世界の人間の関わりがどう伝わるか楽しみ。僕の最後のシーンは、とても愛おしいひとときなので、それを大事にしながら、すてきな舞台をつくり続けたい」と手応えを感じているようだ。

エリオットの母親オデッサを演じる篠井英介は「演劇ならではの女形。舞台では皆さんに想像を掻き立てていただけるので、おっさんなのに女の役をやらせてもらってます(一同笑)。向こうの端にはどこ国の誰か分からない人(陰山)もいて(笑)、この並びはなんだろうと思われるでしょうし、タイトルは、なんのこっちゃかもしれませんが」と笑いを誘ったが、「内容は少々重いのですが、メンバーはとっても優しくて穏やか。私たちのチームワークの暖かさががわんわんと出るはずです」とカンパニーの仕上がりをアピールした。

そんな母親役の篠井に、右近は「英介さんは安心材料。(役の上では)ギスギスした関係だけど、抵抗なく思い切りぶつけられるのは、やはり女形というのが大きい。胸を借りて演じられる」と、自身も歌舞伎で女形を演じる彼ならではの信頼感が垣間見える。

村川絵梨は「私はいつも、初日よりもゲネプロが一番緊張するんですけど、けんけん(右近)さんも『あ、吐きそう……』って言ってたので、よし! と思いました(笑)。普段、堂々としてるから、緊張とかしないんだろうなと思っていたので、ちょっと安心しました(笑)」と和やかに笑い合っていた。

現代劇初チャレンジとなった右近は「これをやりとげてどうなるか、まったく分からないですけど、とにかく1歩1歩。エリオットも見えてないものに向き合う青年なので、そこは僕も同じ。自分を重ねて、お客さんの気持ちの中に飛び込んでいくつもりで挑戦したい」と気合を入れた。

苦労した点を問われ「存在すること」と答えた右近。「歌舞伎は型に守れれていて、初役でも、その気持になっているように見せることができる、洗練された型があるんですが、今回は、稽古しながら、相談しながら、すり合わせて、自分の思いをぶつけて、自分で型をつくらないといけない。まだ未完成だし、大阪の大千秋楽までこれからもつくり上げたいという気持ちが溢れてます」と取り組む姿勢は貪欲だ。

ハードな題材を取り上げながらも、温かで優しい希望の光を見せる本作。南沢は「最初、読んだ時は、面白いと感じたけど、セリフの意味や、書かれていない部分も考えたり、読めば読むほど、謎が生まれてきた」と戯曲の奥深さを語り、稽古場でキャストたちは数多くのディスカッションが重ねられてきたよう。右近も「ディスカッションして共有して、理解を深めるという過程も初めて。どう発展させるかは自分の力。(南沢とは)ずっと一緒にいる役なので、一緒にいちにのさんで踏み出したい」とうなずいた。

ネットを取り入れた内容には右近は「誰でも見られるものですから、たくさん宣伝してほしい。ハッシュタグ#ウォーター・バイ・ザ・スプーンフルでお願いします」とアピール。“ウワサ”が飛び交うことの多いネットの世界には「ウワサなんてどんどん立ててもらった方がいい。役者なので恐れてないし」と頼もしい言葉で応えた。

東京公演は22日(日)まで。大阪公演は、8月4日にサンケイホールブリーゼにて行われる。

なお、発売中の本誌「シアターガイド」8月号では、本作に取り組む右近のインタビューを掲載している。公演と併せてこちらもチェックしていただきたい。

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  • 『ウォーター・バイ・ザ・スプーンフル』開幕 1 左から、尾上右近、篠井英介、南沢奈央
  • 『ウォーター・バイ・ザ・スプーンフル』開幕 2 左から、葛山信吾、篠井英介、村川絵梨、鈴木壮麻
  • 『ウォーター・バイ・ザ・スプーンフル』開幕 3 南沢奈央(左)と尾上右近
  • 『ウォーター・バイ・ザ・スプーンフル』開幕 4 陰山泰(左)と尾上右近
  • 『ウォーター・バイ・ザ・スプーンフル』開幕 5 篠井英介(左)と葛山信吾
  • 『ウォーター・バイ・ザ・スプーンフル』開幕 6 村川絵梨(左)と鈴木壮麻
  • 『ウォーター・バイ・ザ・スプーンフル』開幕 7 南沢奈央(左)と尾上右近
  • 『ウォーター・バイ・ザ・スプーンフル』開幕 8 左から、陰山泰、葛山信吾、南沢奈央、尾上右近、村川絵梨、篠井英介、鈴木壮麻
  • 『ウォーター・バイ・ザ・スプーンフル』開幕 9 尾上右近
  • 『ウォーター・バイ・ザ・スプーンフル』開幕 10 篠井英介
  • 『ウォーター・バイ・ザ・スプーンフル』開幕 11 南沢奈央
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  • 『ウォーター・バイ・ザ・スプーンフル』開幕 13 鈴木壮麻
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  • 『ウォーター・バイ・ザ・スプーンフル』開幕 15 陰山泰

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