高畑淳子&鶴見辰吾&若村麻由美が原発事故めぐる人間ドラマに挑む 舞台『チルドレン』開幕 - 2018年9月 - 演劇ニュース - 演劇ポータルサイト/シアターガイド
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『チルドレン』開幕 1

▲ 左から、高畑淳子、若村麻由美、鶴見辰吾

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『チルドレン』開幕 6 左から、高畑淳子、鶴見辰吾、若村麻由美

▲ 左から、高畑淳子、鶴見辰吾、若村麻由美

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巨大地震による津波で起こった原発事故をめぐる人間ドラマを描いたルーシー・カークウッド作『チルドレン THE CHILDREN』が、栗山民也の演出と、高畑淳子、鶴見辰吾、若村麻由美の共演で日本初演。8・9日の彩の国さいたま芸術劇場公演を皮切りに、ツアー公演がスタートした。

巨大地震から起こった大津波により、原発事故が発生。浸水で家を追われた夫婦ロビン(鶴見)とヘイゼル(高畑)が移り住んだコテージに、38年ぶりに女友達ローズ(若村)が訪ねて来る。かつて、原子力発電所で一緒に働いていた核技術者同士だった3人。ローズの訪問の理由は「原発事故処理で若手技師たちが危険に侵されている。事故処理に参加すべきは、私たちではないか」と持ちかけるためだった……。

明日12日(水)からの世田谷パブリックシアターでの公演を前に、一部シーンが公開。併せて、高畑、鶴見、若村が囲み取材に応じた。

さいたま公演を振り返り、「お客さんがじっくり見てくださった。とってもやりがいがある、見応えあるお芝居になった」と胸を張ったのは高畑。鶴見は「観てくれた友人は、やはり『大きなものを考えて帰った』『帰りの電車の中でぐるぐると想像が止まらない』と話していた」と明かしたが、「もちろん面白いシーンもいっぱいあるのでそこは楽しんで」とアピールすると、若村も「テーマが重いけど、笑っていいお芝居」とうなずきく。そして「3人の科学者が人生後半に入って振り返った時に、シンプルに“何をすべきか”を思い当たるという話。皆さんもお持ち帰りいただける、意味深い、演劇らしいお芝居」と手応えをのぞかせた。

2014年ローレンス・オリヴィエ賞に輝いた『チャイアメリカ』などで注目を集める若手カークウッドが、東日本大震災で起きた事故に触発され、執筆したという本作。カークウッドは、若者に被曝させないために現場作業を肩替りすることを開発者OBが呼び掛けたという日本での実際のニュースを聞き、着想を得たというものだ。

鶴見は「イギリス人であるカークウッドさんが、フィクションとして3.11を描いたものが、実際に日本で上演される。これを日本でやっていいのか? と真剣に考えている方ですので、そんな方の戯曲だと考えてもらうと面白いはず」と語る。また、骨太な題材には「難しいテーマ。でもホンを読み進めてくと、いろいろなことが内包されていて、行き着くところは、“われわれの日常をどう生きていくか?”ということ。今日、この劇場に来るまでとか、そんな日常含めてテーマになっている」と彼なりの分析を述べた。

若村は「ウェストエンドやブロードウェイとか、各国で評価されるのは、やっぱり日本だけの問題ではないことだから。国を超えて人間が立ち向かうものを描いている、世界と共有できる作品」と真摯な表情をのぞかせ、「『チルドレン』という名の通り、“次の世代”のために、われわれ世代がどうすべきかを描いているんです」とタイトルに触れる。

高畑は「セリフの第一声が『子供たちは……』とタイトルそのもの。それを、鼻血を流しながらですよ。これは“策士”の戯曲。だから、私たちは“ナマモノ”やろうと思ってる。何年も生きて、聖なるものも邪なるものも、いろいろなもの全部抱えた“物体”として、稽古を信じて身を晒すだけ。あとは周りが考える」と作品への姿勢を熱弁。鶴見も「お客さんの豊かな想像に委ねる芝居だね」と同意していた。

先だっての北海道での震災もあり、作品に望む思いはより深いものになりそうだ。鶴見は「直接行って助けることができない、その歯がゆさを、この芝居に命を懸けて乗せていくしかない。それが使命」と姿勢を正すと、若村は「芝居の大きなテーマの一つでもある“海から鐘の音が聞こえる”ということを大切にしているんです。それは、災害で犠牲となった人たちへの鎮魂の鐘の音でもあり、今生きている私たちが、再生して、生きる希望でもある。謹んでこの舞台を、そういう方たちに捧げるつもり」と気を引き締めた。

しかし、テーマはシリアスながらも、3人のムードは和やか。鶴見は「毎日、稽古場にこの二人に会いに行くのが楽しかった」と話すほどだ。劇中シーンで披露される、鶴見の三輪車の乗りこなしに話題が及ぶと、熱心なサイクリストとしても知られる鶴見は「自転車やってましたからね(笑)。でも、あれはもともとの脚本にあるからね。自前のアイデアじゃないから(笑)」とコメント。これに若村は「舞台が傾斜してるから本当は難しいんだけど、鶴見さんはスイスイ乗ってしまうんですよね。大変そうにやった方がいいんじゃない?(笑)」と意外なダメ出しが飛び出す一幕もあった。

最後に3人はそれぞれにメッセージ。高畑は「よくこの3人をチームにしてくださったと感謝しています。心を込めて、“日常”を生きていく人間を演じます」と意気込むと、鶴見は「日常がどれだけ大事か、皆さんと考えられるものを提供したい」と力を込め、若村は「今生きているすべての老若男女すべての方に、心の糧となる芝居が出来上がりました」と言葉を送った。

東京公演は、12日(水)から26日(水)まで。その後、愛知、大阪、福岡、富山、宮城を巡るツアー公演が行われる。

なお、現在発売中の本誌「シアターガイド」10月号では、高畑、鶴見、若村の鼎談と、栗山のコメントを掲載している。公演と併せてこちらもチェックしていただきたい。

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インフォメーション


■埼玉公演
2018年9月8日(土)・9日(日)
・会場=彩の国さいたま芸術劇場

■愛知公演
2018年9月29日(土)・30日(日)
・会場=穂の国とよはし芸術劇場 PLAT 主ホール

■大阪公演
2018年10月2日(火)・3日(水)
・会場=サンケイホールブリーゼ

■福岡公演
2018年10月13日(土)・14日(日)
・会場=北九州芸術劇場 中ホール

■富山公演
2018年10月20日(土)
・会場=富山県民会館

■宮城公演
2018年10月30日(火)
・会場=えずこホール(仙南芸術文化センター)

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