ブラッドベリのディストピア世界が舞台に展開 白井晃×長塚圭史『華氏451度』開幕 - 2018年9月 - 演劇ニュース - 演劇ポータルサイト/シアターガイド
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白井晃×長塚圭史タッグが、レイ・ブラッドベリの名作SFを舞台化。KAAT神奈川芸術劇場プロデュース公演『華氏451度』が、本日、開幕した。

原作は、アメリカの作家レイ・ブラッドベリによって、1953年に書かれたSF小説。そのタイトルは(本の素材である)紙が燃え始める温度を意味したものだ。徹底した思想管理体制のもと、書物を読むことが禁じられ、情報はすべて感覚的な映像や音声ばかりで溢れている近未来。そこでは、本の所持が禁止されており、発見された場合はただちに「ファイアマン」と呼ばれる機関が出動し、書物は焼却され、所有者は逮捕されてしまう。

物語の主人公は、ファイアマンの一人であるモンターグ。当初は模範的な隊員だったが、ある日クラリスという少女との交友を通じて、それまでの自分の所業に疑問を感じ始めるようになる。仕事の現場から隠れて持ち出し、数々の本を読み始めたモンターグは、社会への疑問を抱くようになり、やがて、彼は追われる身となっていく……。

現代社会を鋭く風刺したディストピア小説の名作であり、フランソワ・トリュフォー監督の映画版でも広く知られる本作。長年舞台化を望んでいた長塚の上演台本と、同劇場芸術監督・白井の演出という顔合わせにより、日本初の舞台化が実現した。

舞台上につくり上げられているのは、真っ白な本がぎっしりと並ぶ、巨大な本棚に囲まれたセット。本棚には、シーンに合わせて、数々の本背表紙や燃えさかる炎など、さまざなま映像が投影される。また、ところどころの本はバラバラと落ち、床に無造作に積み上げられた本の中で、俳優たちはディストピア世界の住人たちを演じることになる。

主人公モンターグとなるのは、本格的な舞台出演は3年ぶりとなる吉沢悠。管理社会の中でも自由な発想を持つ少女クラリス、摘発された本と共に焼身自殺を遂げる老婆、そして、本との出会いに、苦悩し変化していく男の姿を熱演している。

吉沢以外のキャストは複数役を担当。美波は、モンターグに変化のきっかけを与えることになる少女クラリスと、未来社会の構造に染まり思考停止しきってしまった妻モンターグという対称的な二役を好演。吹越満は、思想を剥奪する立場ながらも、豊かな知識と巧みな語りで、モンターグを追い詰めていくファイアマンの上司ベイティーとして、ステージに緊迫感をもたらしている。

また、モンターグと同じく本の魅力を知る学者を演じる堀部圭亮、モンターグの目の前で焼死し、彼に大きな影響を与える老婆を演じる草村礼子らも存在感を発揮。理不尽な社会の中でそれぞれに生きる人々の人間ドラマを舞台に立ち上げる。

【追記:201810/1】キャスト開幕コメントを追記

■吹越満
この作品は、SF作品として原作はもともと書かれていますけれども、現代の状況にすごくヒットしている物語だと思うんです。舞台としては、歌ったり踊ったりというエンターテイメントのつくりではないですけれど、今のお話としてある種のエンターテイメントになっているので、ぜひ楽しみにいらしていただきたいですね、舞台もとてもきれいですので。白井さんは、稽古の最初から思ってましたけれども、やっぱり良い意味でしつこいです(笑)。初日が開けましたが、またここからクリエーションが続くんだろうなと思って覚悟はしています。舞台はやっぱり生ものなのが醍醐味ですので、日々変わっていくのが面白いですよ。ぜひ劇場にいらしてください、お待ちしています!

■美波
同じチームで長い間稽古をしてきたので、今日はそれを始めてお客さんの前で演じられて、あらためてこの舞台空間に立てることにとても感動しました。お客さんの前で演じる中で、昨日までわからなかった新しい発見もあって、舞台はそこがすごく面白いと思います。この作品は、“不滅”がテーマだと思っていて、本も演劇もなくなりはしないもの。だけどわざわざ出かけて行って観る、という時間と場所が制限されることだからこそ、限りある人生の中で一緒に一つの空間を共有できる素晴らしさを伝えられれば、と思います。もしこの作品に興味を持っている方がいたら、難しいことを考えずにまず、ぜひ体感していただきたいです。

■吉沢悠
「華氏451度」はレイ・ブラッドベリが何十年も前に書いた作品ですが、ずっと色褪せない力を持つ作品であり、長塚さんの台本を白井さんが演出したことによって、また一段と現代だからこそ意味があるものになったのではと思います。白井さんは、司令官としてご自身で行きたい方向というのを持ちつつも、けっして決めつけず、皆の意見を肉付けしながら、妥協せず美しい世界をつくっていく方です。この作品は、今悩んでいることがあったり、考えすぎてしまっている人こそ「何だろうこれは!」と何か身近に感じてもらえる作品なのではないかと思うのですが、それは劇場でないと伝わらないものなので、ぜひ体験してほしいですね。

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