片岡仁左衛門が文化功労者に選出 - 2018年10月 - 演劇ニュース - 演劇ポータルサイト/シアターガイド
サイト内検索
すべて|
公演名|
人名・劇団名|
劇場|
演劇ニュース
様々な条件で検索
こだわり検索
注目キーワード

演劇ニュース

このエントリーをはてなブックマークに追加
ニュースを購読する

歌舞伎俳優・片岡仁左衛門が、文化功労者に選出された。仁左衛門は、選出を受け「身の引き締まる思い」と挨拶。歌舞伎俳優としての活動の原動力には「ただただ歌舞伎が好きということ。正直、廃業も考えた時期もありましたが、やはり歌舞伎の魅力から離れられなかった」と語る。

長きにわたる活躍を続ける仁左衛門だが、病気療養のために舞台に立つことがかなわない期間もあった。「再び舞台に立てると決まった時には、おこがましい言い方ですが『神様が歌舞伎のために頑張れ』とおっしゃったのだと思って、極力、歌舞伎一本に絞るようにしました。父を含めて、そのまたさらに先輩から受け継いだものを、後世に伝えないといけない、そして、私自身も勉強しないといけないと歩んできました」と振り返る。

これまで演じてきた役には「舞台に立つ前は嫌いなお役でも、舞台に立つと好きになる(笑)」と話す仁左衛門。役に取り組むには「その人物にならないとお芝居は面白くならない。“演じる”のではなくて、その“人物になる”ということは大事なこと」と話す。

選出の知らせを受けた時は、歌舞伎座で演じる助六のため、十一代目市川團十郎の助六の映像を見直していたそうだ。この助六への取り組みの姿勢には「東京では20年ぶりの助六ですし、この先、このお役をやるのは無理かもしれない。助六をできる回数は減っていきますから、やはり(公演中の)その間もいろいろな研究はしています」と真摯な表情をのぞかせ、「ですから、明後日が一番ええかもしれません。観に来てください(笑)」と笑いを誘った。

1998年の襲名から20年、仁左衛門という名前には「襲名当時は、やはり自分の名前というよりも“お預かりした”という気持ちでした。名前の格を落としてはいけない。名乗っている役者が良いから、良い名前になるというものですから。次の世代に継ぎたいと思う名前にしたい」と気を引き締め、「やっと仁左衛門と言われても振り返るようなりました。のぼりとか着到板とかでも、自分と違うと思ってたけど、今はなんとなく、ああ自分なんだなと思えるようになりましたね」としみじみと述べた。

現在の歌舞伎界には「毎月、歌舞伎座やほかの劇場でも、多く公演ができていることは、ありがたいこと」とコメント。「子供のころ、大きな千日前の大阪歌舞伎座が一杯だったのが、突如、お客様が引いていった」と回想し、「その恐ろしさを知っていますから、今、入りがいいからと安心してはいけない。歌舞伎座は“檜舞台”という言葉がぴったりの世界に誇る劇場。今は周りの環境の変化が著しいけれど、江戸時代から伝わってきた先輩たちの心・精神を受け継いで、若い人たちには、歌舞伎の真髄も極めながら、攻めてほしいですね」と後進たちへ期待を寄せた。

父・十三代目仁左衛門も人間国宝、文化功労者であり、「今回の選出で、父に追いついたという実感は?」という質問が飛んだが、仁左衛門は「全然ない」と即答。「先輩方の写真や映像を拝見すると、足元にも及ばない。芸も人間的にも、どうしてあのラインへ行けないのかという気持ちの方が多い。今回の選出は、年齢的に上が詰まってるからかな(笑)」と冗談を交じりながらも、姿勢を正した。

なお、この日身に付けていた腕時計は「時計は中学1年か2年生か、父が褒美にくれたもの」と明かし、「父と一緒にいるよう」と感慨深い様子だった。

11・12月と新開場する南座の舞台にも立つ仁左衛門。今後への意気込みを問われたが、「正直申し上げて、このたびの選出を特に意識することはございません。今まで通りの自分でいきたい」と答え、自身の言葉“不逆流生”を用いて「流れに逆らわず、流れに乗り、流れを生かしていくのがモットー」と仁左衛門ならではのスタンスを見せる。そして「とにかく古典の掘り下げたい。目新しいことでなく、掘り下げることで、新しい芝居の魅力を、歌舞伎をご存知ない方にも訴えたい。言い古された言葉ですが“死ぬまで修行”。われわれに終点はないので、体力が許す限り、歌舞伎というものを多くの人に伝えたい」と力を込めた。

なお、顕彰式が行われる文化の日(11月3日)は、南座公演の真っ最中。「(式には)残念だけど行けないね。あの時(重要無形文化財保持者)もそうだったのよ。お芝居休んで行きたいよ(笑)」と笑わせる。さらに、会見終了後にも「こういう会見の中で、私が一番アホでしょう?(笑)」とジョークを飛ばしたりと、終始和やかなムードに包まれた会見となった。

この記事の写真

  • 片岡仁左衛門 文化功労者会見 1
  • 片岡仁左衛門 文化功労者会見 2
  • 片岡仁左衛門 文化功労者会見 3
  • 片岡仁左衛門 文化功労者会見 4

関連サイト

トラックバック

この記事のトラックバックURL

http://www.theaterguide.co.jp/mt/mt-tb.cgi/10251